【読書】新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)

慶應義塾大学通信

 皆様、お疲れ様です。お元気でしょうか?読書は進んでいますでしょうか?学習障害ぎみの私は読書スピードが非常に遅いので、読もうと思っている本がどんどん積まれて行ってます・・・。今回は、私のレポート作成の助けになってほしいということかとら、「新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)」を手に取ってみました。私は今回kindle版を購入しました。老眼が進んでいて大きな文字で読むことができるkindle様様なのですが、本本来の質感などには相変わらず心惹かれています。

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著者について

戸田山和久 Todayama Kazuhisa

1958年東京都生まれ。89年、東京大学大学院人文科学研究科単位取得退学。専攻は科学哲学。現在、名古屋大学大学院情報学研究科教授。

著書に『科学哲学の冒険』(NHKブックス)、『「科学的思考」のレッスン』『恐怖の哲学』(以上、NHK出版新書)、『論理学をつくる』『科学的実在論を擁護する』(以上、名古屋大学出版会)、

『知識の哲学』(産業図書)、『哲学入門』(ちくま新書)、『教養の書』(筑摩書房)、『思考の教室』(『新版 論文の教室』の姉妹編、NHK出版)など。 

書籍概要

論文って何だ!?それは、「問い」に対して明確な答えを主張し、その主張を論証するための文章である。主人公は作文の苦手な大学新入生。彼が読むに耐える論文をなんとか仕上げるまでを時系列で辿りながら、論理的に文章を書くためのノウハウを伝授。論文のアウトラインの作り方を丁寧に紹介するほか、主張の説得力を高めるためのコツを明快に説く。インターネットなど情報へのアクセス法もさらに詳しく解説、巻末付録も充実した決定版。

読んでみて

大学生の皆さん、特に大学に入って初めて「レポートを書きなさい」と言われた時、「え、どうやって書くの…?」と戸惑った経験はありませんでしょうか? あるいは、卒業論文のテーマは決まったものの、「一体何から手をつければ良いのだろう…」と途方に暮れてはいませんか?

正直に申し上げますと、私自身も学生時代、論文やレポートの書き方には大変苦労いたしました。高校までの「感想文」や「意見文」とは全く違う、独自のルールや作法がある academic writing (アカデミック・ライティング)。多くの学生さんが、ここでつまずいてしまうのは、ある意味、当然のことなのかもしれません。

そんな、多くの学生さんの「困った!」に、長年寄り添い続けてきた、いわば論文・レポート作成の「バイブル」と称される一冊が、この『論文の教室』です。そして今回、時代の変化に合わせて内容がアップデートされた『新版』が登場しました。

今日はこの『新版 論文の教室』が、なぜこれほどまでに多くの学生さんに支持され、そして新版になって何が変わったのかを、落ち着いて、じっくりと掘り下げていきたいと思います。

1.なぜ、私たちは「論文・レポート」に悩むのか?

大学における論文やレポートは、単に自分の意見や感想を述べるものではありません。特定のテーマについて、先行研究や客観的なデータに基づいて考察し、論理的に自分の主張を展開し、それを根拠とともに示す、という非常に厳密なルールに基づいた文章です。

  • 「テーマの探し方が分からない」
  • 「参考文献ってどうやって探すの?どうやって読むの?」
  • 「構成をどうすれば良いの?」
  • 「自分の意見と、引用の区別があいまいになってしまう」
  • 「剽窃(ひょうせつ)、つまりパクりと言われないためには?」
  • 「そもそも、何を書けば『論文』になるの?」

こうした疑問や不安は尽きないものです。私たち学生は、これらのスキルを体系的に学ぶ機会がないまま、いきなり「書きなさい」と言われることが少なくありません。ここに、多くの「論文・レポート難民」が生まれてしまう原因があるように思います。

2.論文・レポート作成の「困った」に、これ一冊で寄り添う

『新版 論文の教室』は、まさにこうした学生さんの「困った!」に、最初から最後まで、文字通り「教室」のように寄り添ってくれる本です。

本書が素晴らしいのは、論文やレポートを作成する全工程を、非常に丁寧に、順序立てて解説してくれている点です。「レポートから卒論まで」と副題にある通り、短いレポートから、分量の多い卒業論文まで、どのようなacademic writingにも応用できる、普遍的な方法論が詰まっています。

3.『新版 論文の教室』のここがすごい! 具体的に何が学べる?

では、この『新版 論文の教室』を読むことで、具体的にどのようなことが学べるのか、その「すごい点」を掘り下げていきましょう。

  • 論文・レポートとは何か?という根本理解: 本書はまず、「なぜ大学では論文やレポートを書く必要があるのか?」「論文と感想文、意見文は何が違うのか?」といった、根本的な問いから入ります。ここを理解するだけでも、書く上での意識が大きく変わります。
  • テーマの探し方、問いの立て方: 「何について書けばいいの?」という最初の難関。本書は、漠然とした関心から、研究可能な具体的な「問い」へと落とし込んでいく方法を教えてくれます。
  • 資料の探し方、読み方、使い方: 図書館の活用法から、最近では必須となったオンラインデータベースやインターネット情報の探し方、そして、見つけた資料をただ読むだけでなく、「論文を書くための資料」としてどのように読み解き、整理し、自分の議論にどう位置づけるのか、その具体的な方法論が詳しく解説されています。
  • 論文の骨組み、構成の作り方: 序論、本論、結論といった基本的な構成はもちろんのこと、それぞれのパートに何を、どのような順序で書けば、論理が一貫した分かりやすい文章になるのか。設計図の描き方を学ぶことができます。
  • 「論理」の組み立て方、根拠の示し方: 論文の最も重要な要素である「論理的な思考」と、それを文章として表現する方法について、具体的な例を交えながら解説しています。自分の主張を、どのように客観的な根拠(資料やデータ)で裏付けるのか、その「作法」を学ぶことができます。
  • 引用・参考文献の書き方、そして「剽窃」の回避: academic writingにおける最も重要なルールの一つである、引用と参考文献の示し方について、なぜそれが重要なのか、そして、意図せずとも「剽窃」と見なされてしまうケースと、それを確実に避けるための方法が丁寧に解説されています。これは、特にインターネット上の情報が溢れる現代において、非常に重要なパートです。
  • 分かりやすい文章表現のコツ: 冗長な表現を避け、正確に意図を伝えるための、学術的な文章表現のコツについても触れられています。
  • そして、『新版』でアップデートされた点!: ここが、旧版をお持ちの方や、これから購入を検討される方が特に気になる点かと思います。新版では、インターネット上の情報やデータベースの活用、オンラインジャーナルの参照方法など、現代の学術情報へのアクセス方法に関する記述が強化されています。また、デジタル化が進んだ現代における「剽窃」のリスクについても、より現代的な視点からの解説が加わっていると聞きます。情報収集や執筆環境がデジタル化された今、まさに「新版」で学ぶことに大きな価値があると言えるでしょう。

4.この本を読むことで、何が変わる?

この『新版 論文の教室』を、じっくりと読み進め、書かれていることを実践してみることで、何が変わるのでしょうか。

まず、論文やレポートを書くことに対する漠然とした不安や恐れが、大きく軽減されるはずです。「何をどうすれば良いのか分からない」という状態から、「次はこれをすれば良いんだな」という、明確な道筋が見えるようになります。

そして、論理的に思考し、それを分かりやすく文章で表現する、という、学術的な能力はもちろんのこと、情報を批判的に読み解き、整理する力、そして自分の考えを論理的に構築する力といった、学業だけでなく、その先の人生や仕事においても必ず役立つ、**普遍的な「考える力」「伝える力」**が養われることと思います。

単に単位を取るためだけでなく、知的な探求の道具として、論文・レポート作成スキルを身につけることができる。それがこの本の最大の価値だと感じています。

5.特にこんな人にオススメしたい

この『新版 論文の教室』は、以下のような方に特におすすめしたい一冊です。

  • 大学に入学して、初めてレポート課題に直面している方
  • レポートの書き方が分からず、いつも低い評価を受けてしまう方
  • 卒業論文の執筆を控えており、何から始めて良いか分からない方
  • 大学院進学や研究職を目指しており、学術的な文章スキルを本格的に身につけたい方
  • 社会人で、業務報告書や企画書など、論理的な文章を書く機会が多い方
  • 一度旧版を読んだけれど、最新の情報や環境に合わせた知識もアップデートしたい方

著者が上野千鶴子先生、そしてNHKブックスという信頼性。内容的にも、これだけ網羅的かつ分かりやすく書かれている本は、なかなかありません。

6.まとめ:迷った時の「バイブル」、手元に置きたい一冊

『新版 論文の教室 レポートから卒論まで』は、まさに academic writing の世界へ入るための、あるいはその世界で迷子になった時の、強力な羅針盤となる一冊です。

難解な専門書を読む前に、まずはこの本で、論文やレポートの「なぜ」「何を」「どのように」という基本の「型」を身につけることを強くお勧めいたします。一度理解してしまえば、その後の学業が格段にスムーズに進むことでしょう。

論文やレポート作成は、決して特別な能力が必要なものではありません。それは、正しい方法を学び、練習を重ねることで、誰もが身につけることのできるスキルです。そして、この本は、そのスキルを習得するための、優しくも的確な「教室」となってくれるはずです。

ぜひ、あなたの学びのそばに、この一冊を置いてみてはいかがでしょうか。きっと、心強い味方になってくれることと思います。

それでは、今日はこの辺で。皆さんの学びが、実り多きものであることを願っております。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


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