知っておきたい放射性物質トリチウムのはなし – 私たちの生活との関わり

雑談

皆様、お疲れ様です。元気にしていますでしょうか?
このようなニュースがありました。「福島第一「処理水」の海洋放出、月内にも決定へ…実施は2年後」讀賣新聞。
(リンク先のニュースより文章引用)

東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質を含んだ「処理水」について、政府は海に放出する方針を固めた。処理水は一定の水準まで薄めたうえで海に流すため、放射性物質の濃度は希釈されるが、漁業関係者は風評被害を懸念しており、政府は対策を講じる。海洋放出は、処理水に含まれる放射性物質トリチウムを国の基準値の40分の1まで海水で薄め、原発敷地内から福島沖に流す。放出は約30年にわたる見通しで、少しずつ流すことで海ではさらに濃度が下がるため、健康被害は想定されていない。

2020/10/16讀賣新聞

 この記事で気になるポイントは放射性物質トリチウム。

ニュースなどで「トリチウム」という言葉を耳にする機会が増えたかもしれません。なんだか難しそうな言葉で、少し不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、放射性物質であるトリチウムについて、難しい専門用語はできるだけ使わず、私たちの生活との関わりも含めて、丁寧に解説していきます。

トリチウムって何?どこにあるの?

トリチウムは、水素の仲間です。水素は、水(H₂O)を作る大切な元素として、私たちの身の回りにたくさんありますよね。トリチウムも水素と同じように、水の中に入り込む性質を持っています。

実は、トリチウムは自然界にもごくわずかに存在しています。例えば、宇宙から降り注ぐ宇宙線が空気中の窒素原子と反応することで生成されたり、雨水や海水、私たちの体の中にも、ごく微量ですが存在しているのです。

また、原子力発電所の運転など、人間活動によってもトリチウムは生成されます。

放射性物質って聞くと心配…トリチウムは危ないの?

「放射性物質」と聞くと、なんだか危険なイメージを持つ方もいるかもしれません。確かに、放射線を出す物質の中には、人体に悪影響を与えるものもあります。

しかし、トリチウムが放出する放射線は「ベータ線」と呼ばれるもので、そのエネルギーは比較的弱く、紙一枚で遮ることができます。また、体内に取り込まれたとしても、比較的短い期間で水分と一緒に排出されるため、蓄積しにくいという性質があります。

もちろん、大量のトリチウムを一度に摂取すれば、人体に影響が出る可能性は否定できません。しかし、原子力発電所から放出されるトリチウムを含む水(トリチウム水)は、国の安全基準をはるかに下回る濃度まで薄められており、環境への影響は十分に考慮されています。

原子力発電所とトリチウム水

原子力発電所では、原子炉を冷却するために大量の水が使われます。この水には、微量のトリチウムが含まれることがあります。このトリチウムを含む水は「トリチウム水」と呼ばれます。

現在、東京電力福島第一原子力発電所では、このトリチウム水を多核種除去設備(ALPS)などで処理した後、さらに国の基準を大きく下回る濃度まで薄めて、海洋放出することが計画されています。

この海洋放出については、安全性に関する様々な議論がありますが、国際原子力機関(IAEA)をはじめとする専門機関は、放出計画が国際的な安全基準に合致しているとの見解を示しています。

私たちの生活との関わり – 正しい理解のために

トリチウムは、自然界にも存在する身近な物質であり、原子力発電所の活動によっても生成されます。大切なのは、その性質を正しく理解し、過度な心配や誤った情報に惑わされないことです。

科学的な根拠に基づいた情報を確認し、冷静に判断することが求められます。

まとめ

  • トリチウムは水素の仲間で、水に混ざりやすい性質を持つ。
  • 自然界にもごく微量に存在し、原子力発電所でも生成される。
  • トリチウムが放出するベータ線は比較的弱く、体内に蓄積しにくい。
  • 原子力発電所から放出されるトリチウム水は、安全基準を大幅に下回る濃度まで薄められている。
  • 科学的な情報を基に、冷静に理解することが大切。

この記事を通して、トリチウムについて少しでも理解が深まったなら幸いです。

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