皆様、お疲れ様です。元気にしていますでしょうか?
「うちの子、落ち着きがない…」「集中力が続かない…」
もしかして、ADHD(注意欠如・多動症)なのでは? と不安に感じる保護者の方が増えています。特に「ADHDグレー」と診断され、どう向き合えば良いのか悩んでいる方も少なくないでしょう。
実は、その症状、幼少期の「ある習慣」が大きく関わっている可能性があるのです。
4万人以上の小学生の保護者を指導してきた井上顕滋さんによると、「ADHDグレー」と診断された子どもを持つ保護者の多くが、乳幼児期から子どもにタブレットやスマホを長時間与えていたという共通点を指摘しています。
しかし、環境が原因であれば、脳の機能を改善していく方法はあります。 今回は、気になる「ADHDグレー」とスクリーンタイムの危険な関係、そして今からでもできる対策について詳しく見ていきましょう。
「本当のADHD」と「勘違いADHD」~見極める視点~
ADHDは、先天的な脳機能の発達特性と考えられています。型にはまらない発想力や驚くほどの集中力など、素晴らしい資質を持つお子さんも少なくありません。
一方で、最近増えているのが、後天的な要因、特に幼少期の過度なスクリーンタイムによってADHDに似た症状が現れる「勘違いADHD」とも呼べる状態です。
ニュース記事によると、乳幼児期にスクリーンを見る時間が非常に長かった子どもたちは、落ち着きのなさや衝動性、集中力の低下といった症状を示す傾向があるとのこと。先天性のADHDとは異なり、こちらの「勘違いADHD」のお子さんに同様の強みがあるかは、まだ明らかになっていません。
警鐘!スクリーンタイムが子どもの脳に与える深刻な影響
乳幼児期の過剰なスクリーンタイムが「ADHDのような症状」を引き起こすことは、数々の研究で示唆されています。
- リスク約7.7倍: 5歳時点で1日2時間以上スクリーンを見る子は、ADHD症状のリスクが約7.7倍に(カナダの研究)。
- 注意力・実行力低下: 生後12ヶ月時点でのスクリーン時間が長い乳児は、9歳時点で注意力や実行機能のスコアが有意に低下(シンガポールの研究)。
- 情報処理能力の低下: スクリーンへのアクセス頻度が高い子どもほど、視覚情報を処理し注意をコントロールする神経回路網の働きが低下(イスラエルと米国の研究)。
- 多動リスク4.62倍: 乳幼児期(0〜3歳)のスクリーン視聴時間が長いほど、3歳時の多動傾向が強まり、1日3時間以上の子はリスクが4.62倍に(中国の研究)。
これらの研究は、長時間のスクリーンタイムが脳の重要な部分、特に「前頭葉」の発達に影響を与え、「非認知能力」(社会性、自己制御力、意欲など)の低下を招く可能性を指摘しています。前頭葉は、注意・集中、衝動の抑制、計画・判断といった高度な認知機能を司るため、この部分の機能低下がADHD様の症状として現れると考えられています。
小学生のスクリーンタイムも油断禁物?
「じゃあ、小学生になったら大丈夫なの?」と思うかもしれません。
確かに、ある程度成長した年齢層では、スクリーンタイムが認知能力や精神健康に大きな悪影響を及ぼさないとする研究結果も存在します。
しかし、専門家は「小学生のうちは脳が急速に発達し、さまざまな基礎的機能が整う重要な時期」であると警鐘を鳴らしています。中学年以降であっても、過剰なスクリーン刺激のリスクを軽視せず、慎重に向き合う必要があるでしょう。
家庭で今日からできる!「脱・スマホ依存」と「脳育」習慣
「分かってはいるけど、いきなりタブレットを取り上げたら大泣きするし…」そんな声も聞こえてきそうです。ご安心ください。段階的に、そして効果的に取り組む方法があります。
- スクリーンタイムを段階的に減らす
- ペアレンタルコントロール機能を活用し、1日の利用時間に上限を設定。
- 子どもの脳はセルフコントロールが未発達。「自分で管理してほしい」という気持ちは分かりますが、まずは大人が物理的に制限することが大切です。
- 「1日3時間→2時間半→2時間…」のように少しずつ減らすことで、子どもの脳への刺激量を確実に減らし、家族のストレスも軽減できます。
- 前頭葉の機能を育む活動を取り入れる スクリーンから離れた時間に、脳を活性化させる活動を取り入れましょう。
- 有酸素運動: 計画や意思決定に関わる実行機能の改善、前頭葉の皮質増加が期待できます(コロンビア大学の研究)。子どもにとっては、楽しく体を動かすことがポイントです。
- マインドフルネス: 注意力や自己コントロールに関わる脳領域の結びつきを強める効果が確認されています(米国ピッツバーグ大学の研究)。ただし、子どもによっては退屈に感じる場合もあるため、運動の方が取り組みやすいかもしれません。
これらの対策は、短期間で劇的な変化が現れるものではありません。しかし、「少しずつでもスクリーンタイムを適切に管理し、前頭葉の機能を刺激する活動を取り入れる」ことが、子どもの健やかな発達にとって非常に重要です。
不安になりすぎず、前向きな一歩を
もし、あなたのお子さんが「ADHDグレー」と診断されたり、それに近い様子が見られたりする場合、「うちの子は先天的なものだ」と決めつけてしまう前に、一度立ち止まってみてください。
幼少期からの生活習慣、特にスクリーンタイムの状況を振り返り、もし心当たりがあるなら、「勘違いADHD」の可能性も視野に入れ、できることから対策を始めてみませんか?
運動や外遊び、そして親子で一緒にマインドフルネスに取り組む時間も、子どもの脳の健全な発達を力強くサポートします。
不安や焦りを感じることもあるかもしれませんが、情報を正しく理解し、前向きに取り組むことが、お子さんの未来を明るく照らすはずです。
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