2025年10月1日、日本の運転免許取得制度が大きく変わります。海外の免許を持つ外国籍の方々が、日本の免許に切り替える「外免切り替え」の手続きが厳格化されるのです。今回の警察庁の動きは、単なる手続きの変更にとどまらず、日本の交通安全における根深い課題を浮き彫りにしています。
「ホテル住所で免許取得」の抜け穴がなくなる
これまでの制度には、悪用されかねない“抜け道”がありました。パスポートと「一時滞在証明」があれば、住民票がなくても手続きが可能だったため、宿泊施設に滞在を示す書類を作成してもらえば、ホテルに泊まりながら日本の運転免許を取得できてしまうという問題です。
新しい制度では、この抜け道を完全に塞ぎます。
- 住民票の写しが必須に
- 国籍に関わらず、免許取得時に住民票の写しの添付が求められます。これにより、日本に正式な住所を持たない短期滞在者は免許を取得できなくなります。
- パスポートや一時滞在証明は不可に
- パスポートに母国の住所が記載されていない場合が多く、また、ホテルなどが発行する一時滞在証明も要件を満たさなくなります。
- 既存の免許保持者も対象
- すでに免許を持つ外国籍のドライバーも、更新時に在留カードや住民票の写しの提示が求められます。宿泊先を現住所とした免許は無くなります。
知識・技能確認も大幅に厳格化
もう一つの大きな変更点は、知識と技能の確認が厳しくなることです。これは、日本の交通ルールをどれだけ理解しているかをより深く問うという警察庁の強い意思が表れています。
【知識確認】
- イラスト問題を廃止
- これまでは、10問中7問正解すれば良かったイラスト問題が廃止されます。
- 新規取得者と同水準に
- 問題数は50問に増加し、正答率も新規免許取得者と同じ90%以上が求められます。
【技能確認】
- 審査項目を具体化
- 「横断歩道の通過」や「踏切の通過」などの課題が設定され、より実践的な運転能力が問われます。
- 違反の減点を厳しく
- 合図不履行や右左折方法の違反に対する減点が重視され、安易な合格は難しくなります。
「交通ルールの違い」を知ることの重要性
今回の厳格化の背景には、「交通ルールの違いを知っていることを重視する」という警察庁の明確なメッセージがあります。海外では一時停止が当たり前ではない踏切の通過など、日本独自のルールを理解していることが重視されるのです。これは、文化や習慣の違いによる交通事故を防ぐための、極めて現実的な対策と言えるでしょう。
制度変更がもたらす影響と今後の展望
今回の制度改正は、外国人ドライバーの日本の免許取得を実質的に困難にする一方で、日本の公道を運転するすべての人が、国の交通ルールと安全基準を十分に理解していることを徹底しようとするものです。
この動きは、日本の交通社会における安全意識を一段と引き上げ、国籍を問わず誰もが安心して運転できる環境を築くための重要な一歩となるでしょう。パブリックコメントの募集も行われており、今後の議論がこの制度をさらに良いものにしていくことを期待したいと思います。
人気ブログランキング



コメント