ソードアート・オンラインの主人公キリト、なぜ一部の男性ファンから「嫌われる」のか?深掘り考察

ヲタク

皆様お疲れ様です!元気にしていますでしょうか?
ちょうどソードアートオンラインがアマゾンプライムでの見放題が終わるということで、見れるやつは全部久しぶりにみました。この作品の企画に知人が関与していたこともあって、昔よく見ていた作品です。

アニメ史に残る大ヒット作『ソードアート・オンライン(SAO)』その主人公であるキリトこと桐ヶ谷和人は、圧倒的な強さと冷静な判断力で多くのファンを魅了してきました。しかし、その一方で、特に一部の男性ファンから「嫌い」「つまらない」といった声が聞かれるのも事実です。なぜキリトは、これほどまでに評価が二分されるのでしょうか?

本記事では、キリトが一部の男性ファンから敬遠される理由を深掘りし、彼のキャラクター性、物語における役割、そして現代のファンが求める主人公像とのギャップを多角的に考察します。SAOファンはもちろん、キャラクター論やアニメの主人公像に興味がある方も、ぜひ最後までお読みください。

キリトの圧倒的な「強さ」と「完璧さ」がもたらす反作用

キリトが嫌われる理由として、まず挙げられるのが彼の圧倒的な強さと完璧さです。SAOの世界において、彼は常に最前線を走り、どんな困難な状況も単独で打破してしまう「最強の剣士」として描かれます。

  • 無双状態への不満: SAOは「デスゲーム」という緊張感あふれる設定で始まりましたが、キリトはゲーム開始直後からトッププレイヤーの一人であり、物語が進むにつれてその実力はさらに抜きん出ていきます。敵を瞬殺し、危機を単独で乗り越える描写は、カタルシスを生む一方で、「ご都合主義」「無双すぎて面白くない」と感じる読者も少なくありません。特に男性ファンは、主人公が苦境を乗り越え、成長していく過程に感情移入しやすい傾向があるため、最初から完成された「最強」であるキリトに物足りなさを感じる可能性があります。努力や挫折を通じて強くなる姿が見えにくい点は、感情移入の障壁となることがあります。
  • 完璧すぎる人間性: キリトは、戦闘能力だけでなく、精神面でも非常に安定しており、常に冷静沈着です。困っている人を放っておけず、仲間を思いやる優しさも持ち合わせています。しかし、この「完璧すぎる」人間性が、一部のファンにとっては「人間味が薄い」「共感できない」と感じられる要因にもなります。人間誰しもが持つ弱さや葛藤が描かれにくいことで、キャラクターとしての奥行きを感じにくいという意見も少なくありません。
  • ハーレム展開への反感: SAOシリーズにおいて、キリトは物語の進展とともに次々と魅力的な女性キャラクター(アスナ、リーファ、シノン、ユイ、アリス、ユージオの妹など)と出会い、彼女たちからの好意を集めます。この「ハーレム展開」は、一部の男性ファンにとっては羨望の対象となる一方で、リアリティの欠如やキャラクターの多すぎる消費として批判の的となることもあります。特に、キリトの完璧さの上に、なぜこれほど多くの女性が彼に惹かれるのか、説得力に欠けると感じる層からは、安易な展開として受け止められやすい傾向があります。

物語における「主人公」としての役割の曖牲

キリトは、SAOシリーズ全体の「顔」であり、物語の牽引役です。しかし、その役割が、彼のキャラクター性を犠牲にしているという見方もできます。

  • 物語装置としての側面: SAOは、VRMMORPGという設定を軸に、様々な仮想世界での冒険や人間ドラマを描きます。キリトは、その各エピソードにおける「問題解決装置」としての役割を強く持たされています。つまり、物語を進めるために都合の良い能力や性格を与えられている、という見方です。これにより、彼の人間的な深掘りや内面描写が不足し、キャラクターとしての一貫性よりも物語の進行が優先されていると感じるファンもいるでしょう。
  • 「なんでもできる」が故の魅力の希薄化: どんな状況でも解決できる万能な主人公は、物語に安定感をもたらしますが、同時に「次は何をするんだろう?」という予測不能な面白さを奪ってしまう側面もあります。常に安定した強さを誇るキリトは、視聴者から見て「成長」や「葛藤」のプロセスが明確に見えにくい。これにより、彼自身の人間的な魅力が希薄になり、物語の展開だけを追う形になってしまうことがあります。
  • 感情移入の難しさ: 前述の通り、多くの男性ファンは、主人公が試練を乗り越え、成長していく姿に自分を重ね合わせ、感情移入します。しかし、キリトの場合、最初から完成度が高く、目立った失敗や挫折が少ないため、彼の経験を通して「自分も頑張ろう」といった感情が生まれにくい可能性があります。常に完璧であるがゆえに、視聴者との間に心理的な距離が生まれてしまうのです。

現代の主人公像とのギャップと多様なファン層

アニメや漫画の主人公像は、時代とともに変化しています。SAOがリリースされた2010年代前半と現在では、ファンが求める主人公像にも違いがあるかもしれません。

  • 「等身大のヒーロー」へのニーズ: 近年では、異世界転生モノなどで見られるように、特別な能力を持たず、苦悩しながらも仲間とともに成長していく「等身大のヒーロー」が好まれる傾向にあります。彼らは読者に親近感を与え、共感を呼びやすい存在です。これに対し、キリトのような「最強」でありながら、どこか人間離れしたキャラクターは、現代のニーズとは異なる場合があります。
  • 多様化する価値観: アニメや漫画のファン層が多様化する中で、一口に「男性ファン」と言っても、求めるものは様々です。かつては「強くてカッコいい」主人公が絶対的な人気を誇りましたが、現在では「弱さを受け入れ、努力する姿」「共感できる内面を持つキャラクター」「周囲と協力するリーダーシップ」など、より多角的な視点から主人公の魅力が評価されるようになっています。キリトのキャラクターは、一部の価値観には合致しても、全ての男性ファンに響くわけではない、という現実があります。
  • アンチテーゼとしての存在: キリトの存在は、まさに「最強の主人公」というある種のテンプレート的なキャラクター像を体現していると言えます。そのため、このテンプレート自体に飽き飽きしている層や、より複雑で多面的なキャラクターを求める層からは、アンチテーゼとして嫌悪感を抱かれることがあります。

誤解されやすい「鈍感」と「クール」の境界線

キリトのキャラクター性を語る上で、しばしば議論の対象となるのが彼の「鈍感」さや「クール」さです。

  • 恋愛における「鈍感」さ: 多くの女性キャラクターから好意を寄せられるにもかかわらず、キリトがそれに気づかない、あるいは気付かないフリをしているように見える描写は、一部のファンにとってフラストレーションの元となります。特にアスナという明確なヒロインがいるにもかかわらず、他の女性との関係が示唆されることで、物語の整合性やキリトの誠実さに疑問を抱く声も聞かれます。「モテるのに鈍感」という設定は、女性ファンにとっては可愛らしく映るかもしれませんが、男性ファンにとっては「現実離れしている」「イライラする」と感じさせる要因にもなり得ます。
  • 感情表現の乏しさ: キリトは、感情をあまり表に出さないクールなキャラクターとして描かれることが多いです。これは、彼の冷静さや強さを際立たせる要素である一方で、読者にとっては彼の内面を読み取りにくくし、感情移入の妨げとなることがあります。特に、悲しみや怒り、喜びといった人間的な感情が、表面的にしか描かれないと感じる場合、キャラクターとしての深みが失われ、共感を得にくくなります。一部の男性ファンは、主人公が感情豊かに反応し、人間らしい葛藤を見せることを望む傾向があるため、キリトのクールな側面が逆効果になることがあります。

『SAO』という作品全体への不満がキリトに集中する構図

キリトが一部の男性ファンから嫌われる背景には、彼個人への不満だけでなく、『ソードアート・オンライン』という作品全体への不満が彼に集中しているという構図も考えられます。

  • ストーリーのマンネリ化: SAOは、アインクラッド編から始まり、フェアリィ・ダンス編、ファントム・バレット編、アリシゼーション編など、次々と新しい仮想世界を舞台に物語が展開します。しかし、その根底には「キリトが困難を解決し、ヒロインを救う」というパターンが繰り返されていると指摘する声もあります。このマンネリ感が、主人公であるキリトへの批判につながることがあります。
  • ご都合主義的展開への批判: 前述のキリトの無双状態とも関連しますが、物語の都合に合わせてキリトに新たな能力が付与されたり、偶然の出来事が重なったりする「ご都合主義」的な展開を批判する声も少なくありません。特に、物語の核心に触れるような危機的状況が、キリトの能力や特定のアイテム、あるいは偶然によってあっさりと解決されてしまう場面は、視聴者の興奮を削ぎ、物語の緊張感を損なう可能性があります。この不満が、物語の中心にいるキリトへの不信感へとつながることがあります。
  • 作品人気の高さとアンチの存在: SAOは、非常に高い人気を誇る作品であるため、必然的にアンチ層も存在します。人気作品には、その人気ゆえに粗探しをされやすい側面があり、特に男性向けラノベアニメの主人公という立場上、その「理想化された」キャラクター像が批判の的になりやすい傾向があります。アンチコメントの中には、作品全体への批判がキリト個人に集中する形で表れることも珍しくありません。

結論:キリトは「理想」の体現者であると同時に「記号」でもある

キリトが一部の男性ファンから嫌われる理由は、彼の「圧倒的な強さと完璧さ」、そしてそれがもたらす「物語装置としての側面」に集約されます。彼は、まさに「最強の剣士」として、困難を乗り越え、ヒロインを救うという、ある種の「理想の男性像」を体現しています。

しかし、その理想が高すぎるあまり、多くの読者、特に男性ファンが求める「等身大の成長」「人間らしい葛藤」「リアルな共感」といった要素が薄れてしまっている点が、批判の対象となるのです。彼は物語を駆動させるための「記号」としての側面が強く、人間的な深掘りが不足していると感じられることがあります。

キリトのキャラクターは、ライトノベルというジャンルにおいて、特定のファン層に強く響くようにデザインされた結果であり、その魅力は計り知れません。しかし、多様化する現代のファン層において、彼の「完璧さ」が時に諸刃の剣となり、一部の読者からは共感を得にくい存在となっているのが現状と言えるでしょう。

SAOシリーズは、これからもその世界を広げていくことでしょう。その中で、キリトというキャラクターが、どのように評価され、どのように進化していくのか、引き続き注目が集まります。

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