喉を潤す一杯が、小さな命を救う力に。犬猫殺処分ゼロを目指す「支援型自販機」の希望

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犬猫の殺処分ゼロへ、命守る自販機 売り上げの一部を寄付

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出典 沖縄タイムス

ペット関連用品販売のPETBOXを運営するオム・ファム(北谷町、中村毅社長)と沖縄コカ・コーラボトリング(浦添市、城英俊社長)は22日、那覇市おもろまちのPETBOX那覇店で会見を開き、商品の売り上げの一部を犬や猫の殺処分ゼロを目指す活動に寄付する自動販売機の設置を発表した。

「自販機でゴクッと募金」と題した取り組みで、自販機を北谷町と那覇市のPETBOXなど3店舗に計3台設置した。売り上げの一部はペットリボン基金事務局(北谷町、中村毅理事)を通して、保健所から犬や猫を引き取って保護したり、避妊手術を施したりしている県内の動物愛護団体を中心に寄付する。今後、既存の自販機にペットリボン基金のマークを付けるなどして、同様の自販機を100台増やすことを目指す。
中村社長は「24時間、気軽に社会貢献ができる。地域に愛される自販機になってほしい」と期待を込めた。設置を希望する企業や店舗を呼び掛けている。
問い合わせは
オム・ファム、
電話098(989)0090。
(リンク先より画像・文章引用)

胸が締め付けられる現実:日本の犬猫殺処分問題

まずは、目を背けたくなるけれど、知っておかなければならない現実から始めましょう。日本には、人間の都合によって行き場を失い、保健所などに引き取られる犬や猫たちが年間数多く存在します。彼らの中には、新しい飼い主が見つからず、最終的に「殺処分」という悲しい選択をされてしまう命があります。

環境省の統計によると、犬猫の殺処分数はピーク時に比べれば大幅に減少傾向にありますが、ゼロになったわけではありません。令和3年度には、犬が2,739頭、猫が4,976頭もの尊い命が殺処分されています。これは、毎日約21頭の犬や猫が人間の手によって命を絶たれている計算になります。

なぜ、このようなことが起きてしまうのでしょうか。主な理由としては、無計画な繁殖、飼育放棄、高齢化による飼育困難、飼い主の病気や死亡などが挙げられます。彼らは何も悪いことをしていないのに、人間の身勝手さや社会の仕組みの歪みによって、生きる権利を奪われてしまうのです。

殺処分をゼロにするためには、様々な取り組みが必要です。行政による啓発活動や譲渡の推進、動物保護団体によるレスキュー活動やシェルター運営、そして私たち一人ひとりの意識改革と責任ある飼育が求められています。しかし、これらの活動には莫大な費用と労力が必要です。

喉を潤す一杯が「命の水」に変わる魔法:支援型自販機の仕組み

そんな厳しい現実の中で生まれたのが、「犬猫殺処分ゼロを目指す支援型自動販売機」という、画期的な取り組みです。この自販機は、見た目は普通の自動販売機と変わりません。しかし、購入するごとに、その売り上げの一部が、犬猫の保護活動や殺処分ゼロを目指すための活動を行っている団体などに自動的に寄付される仕組みになっています。

つまり、私たちはいつものように好きな飲み物を選んで買うだけで、知らず知らずのうちに動物たちの支援に参加できるのです。

これは本当に素晴らしい発想だと思います。

  • 特別な手続きは不要: 寄付をするために、別途募金箱を探したり、振込の手続きをしたりする必要がありません。
  • 少額から気軽に: 飲み物一本の値段という、誰もが負担しやすい少額から支援に参加できます。
  • 日常行動が支援に: いつもの「買う」という行動が、そのまま社会貢献につながります。

まさに、私たちの日常的な消費行動が、行き場のない犬や猫たちの「命の水」となるのです。

この一杯が支える希望の活動

では、この自販機を通じて集められた寄付金は、具体的にどのような活動に活かされているのでしょうか。支援先となる動物保護団体やNPO法人は多岐にわたりますが、一般的には以下のような活動の資金として活用されます。

  1. 保護・レスキュー活動: 保健所から犬や猫を引き取ったり、多頭飼育崩壊現場などから動物たちを救出したりするための費用。
  2. 医療費: 保護された動物たちの病気や怪我の治療、ワクチン接種、不妊・去勢手術にかかる費用。特に、衰弱していたり持病を持っていたりする動物たちの医療費は高額になりがちです。
  3. シェルターの運営費: 保護した動物たちが安全に過ごせる施設の家賃や光熱費、清掃用品などの維持費。
  4. フード・物資費: 保護動物たちの毎日の食事や、おもちゃ、ベッドなどの購入費。
  5. 譲渡活動費: 新しい飼い主を見つけるためのイベント開催費用や、啓発資材の作成費用。
  6. TNR活動費: 地域猫の不妊・去勢手術(Trap/Neuter/Return)にかかる費用。これは野良猫の増加を抑制し、殺処分を減らすために非常に重要な活動です。
  7. 啓発・教育活動: 動物愛護に関する講演会やイベントの開催、学校での授業などを通じて、命の大切さや責任ある飼育について広める活動費。

これらの活動は、どれも殺処分ゼロを実現するためには欠かせないものばかりです。しかし、これらの活動は行政からの補助金だけでは到底賄いきれない場合が多く、多くの団体が寄付やボランティアの善意に支えられています。支援型自販機は、こうした活動を持続可能にするための、貴重な資金源の一つとなるのです。

設置場所は拡大中!あなたの街にもあるかも?

この支援型自販機は、全国の様々な場所に設置が進んでいます。企業のオフィスや工場、店舗の敷地内、病院、学校、駅、商業施設など、人が集まる場所に積極的に設置されています。

もしあなたが、街中で「この自販機は動物保護を支援しています」といった表示や、犬猫の写真、保護団体のロゴなどが付いている自販機を見かけたら、それが「支援型自販機」である可能性が高いです。

普段利用する場所や、通勤・通学路に設置されていないか、ぜひ意識して探してみてください。そして、もし見つけたら、迷わずその自販機で飲み物を購入してみてください。その一杯が、遠く離れた場所で、病気と闘っている保護犬の薬代になるかもしれません。寒空の下、お腹をすかせた保護猫たちの温かいご飯代になるかもしれません。

企業や団体も支援に参加できる:地域貢献としての自販機設置

この支援型自販機は、私たち消費者だけでなく、企業や事業所にとっても大きなメリットがあります。敷地内や店先に支援型自販機を設置することで、

  • 社会貢献活動への参加: 手軽に、継続的な社会貢献活動を行うことができます。企業のCSR(企業の社会的責任)活動の一環としてもアピールできます。
  • 企業イメージの向上: 動物愛護や地域貢献に積極的な企業として、イメージアップにつながります。顧客や従業員からの信頼獲得にも貢献するでしょう。
  • 従業員の意識向上: 職場に設置することで、従業員の動物愛護への意識を高めるきっかけになります。
  • 設置場所の有効活用: デッドスペースになりがちな場所を有効活用しつつ、社会貢献も実現できます。

設置を検討している企業や事業所の方は、様々な飲料メーカーや、動物保護団体と提携している専門の業者がありますので、ぜひ問い合わせてみることをお勧めします。設置費用や電気代などの条件は、提携先によって異なりますが、多くの場合は初期費用を抑えて設置できるプランが用意されています。地域貢献や企業価値向上を目指す上で、有効な選択肢の一つとなるはずです。

小さな行動の積み重ねが、大きな変化を生む

「飲み物を一本買っただけで、本当に殺処分ゼロに貢献できるの?」そう疑問に思う方もいるかもしれません。確かに、たった一本の飲み物で、劇的に状況が変わるわけではないかもしれません。

しかし、考えてみてください。もし、この支援型自販機が全国に何千台、何万台と設置され、多くの人が日常的に利用するようになったらどうでしょう? 一人ひとりの小さな行動が、積み重なって大きな力となります。「塵も積もれば山となる」という言葉がありますが、まさにその通りです。

私たちが何気なく手にした一本の飲み物が、保護された動物たちの命を繋ぎ、未来への希望となる。これほどシンプルで、確実な支援の方法はそう多くはありません。

この自販機は、私たちに問いかけているように感じます。「あなたは、この便利な社会の中で、目の前の小さな命に対して何ができますか?」と。そして、その問いに対して、「私は、いつもの買い物を少し意識するだけで、貢献できます」と、自信を持って答えられる選択肢を与えてくれています。

まとめ:未来へ繋がる希望の一杯

犬猫の殺処分ゼロという目標は、決して簡単な道ではありません。多くの課題があり、乗り越えなければならない壁がたくさんあります。しかし、無関心でいることと、少しでも関心を持って行動することの間には、大きな違いがあります。

支援型自動販売機は、私たちにその「少しの関心」を「具体的な行動」に変える機会を与えてくれます。喉が渇いた時、目の前に支援型自販機があったら、ぜひ迷わず利用してください。その一本が、遠くの場所で新しい家族との出会いを待っている犬や猫たちの、希望へと繋がる一杯となるのです。

この取り組みが、全国に、そして世界に広がり、全ての犬や猫たちが愛情あふれる家庭で、安全に暮らせる日が来ることを心から願っています。

私たち一人ひとりの「買う」という小さな行動が、殺処分ゼロという大きな目標達成への確かな一歩となる。

次に自販機を見かけた時、そのことを思い出していただけたら嬉しいです。

あなたの優しい選択が、たくさんの小さな命を救います。

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