【衝撃データ解説】猫人気、止まらない流通増!その陰で消える2万4千の小さな命 – 2016年度ペット業界の光と影

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猫の流通量、3年連続で増える 犬は前年下回る

(出典 朝日新聞)

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2016年度にペットショップなどにより国内で販売・譲渡された猫は少なくとも約16万6千匹で、統計が取れる14年度以降3年連続で流通量が増えていることが、朝日新聞の調査でわかった。前年度より約1万匹増加した。猫も犬のように、ペット店などで購入する入手経路が一般化しつつあるようだ。

改正動物愛護法(13年9月施行)で、繁殖業者やペット店などが自治体に提出することを義務づけられた「犬猫等販売業者定期報告届出書」の集計値について、朝日新聞がアンケートを実施。事務を所管する都道府県や政令指定都市など99自治体から回答を得て(回収率100%)、判明した。各自治体による届出書の回収率は86・61%(1万3876事業所)。

猫の流通量は、前年度の約15万6千匹から6%の増加。改正動愛法の施行でこの調査が可能になった14年度以降、3年連続で増えている。22日にペットフード協会が発表した国内の犬猫の推計飼育数で、猫が犬を上回った一因となっているともみられる。犬の流通量は約66万3千匹で、前年度(約69万2千匹)に比べ4%減だった。

届出書では、年度中の死亡数(原則として死産は含まない)も報告する義務があり、16年度は繁殖から小売りまでの流通過程で犬猫あわせて2万4243匹が死んでいたこともわかった。犬の死亡数(1万8687匹)は、同年度に全国の自治体で殺処分された数(1万875匹、負傷犬を含む)を上回っている。(太田匡彦)

(リンク先より文章・画像引用)


「空前の猫ブーム」という言葉を耳にするようになって久しいですが、私たちのペットとの関わり方は、ここ数年で大きく変化しているのかもしれません。今回、私の手元にあるのは少し前のデータになりますが、2017年12月に朝日新聞が報じた「2016年度の国内における犬猫の流通量」に関する調査結果です。この数字は、当時のペット業界の動向と、私たちが目を向けるべき重要な問題を浮き彫りにしています。

本記事では、この2016年度の調査データを基に、なぜ猫の流通量が増え続けたのか、そしてその一方で犬の流通量が減少した背景に何があったのかを分析します。さらに、この調査で明らかになった、決して見過ごすことのできない「流通過程での犬猫の死亡数」という重い現実にも焦点を当て、私たち飼い主予備軍、そして社会全体が考えるべきことは何かを深掘りしていきたいと思います。

データが語る!猫の快進撃と犬の静かな後退(2016年度調査より)

まずは、朝日新聞の調査(※)によって明らかになった2016年度の具体的な数字を見ていきましょう。 (※改正動物愛護法に基づき、繁殖業者やペットショップ等が自治体に提出する「犬猫等販売業者定期報告届出書」の集計値を朝日新聞が調査したもの)

  • 猫の流通量、3年連続の増加という快挙! 2016年度に国内で販売・譲渡された猫は、なんと少なくとも約16万6千匹。これは前年度(約15万6千匹)から約1万匹増(6%増)という驚きの数字です。統計が取れるようになった2014年度以降、3年連続での増加となり、猫人気の勢いを改めて印象付けました。
  • 一方、犬の流通量は前年を下回る結果に… 対照的に、犬の流通量は約66万3千匹と、前年度(約69万2千匹)に比べて4%減少しました。依然として猫よりも多くの数が流通しているものの、減少傾向が見られたことは注目すべき点です。

この変化の背景には何があったのでしょうか?

一つには、猫の入手経路の変化が挙げられます。かつては知人から譲り受けるケースも多かった猫ですが、この頃から犬と同様に、ペットショップなどで購入するというスタイルが一般化しつつあったと考えられます。

また、この調査結果が発表された2017年当時、ペットフード協会が発表した国内の犬猫の推計飼育数で、初めて猫が犬を上回ったことも大きな話題となりました。今回の流通量のデータは、この飼育数逆転の一因を示唆しているとも言えるでしょう。

(ブロガー考察) 私自身、この背景には現代のライフスタイルの変化も影響しているのではないかと考えています。例えば、都市部におけるマンション住まいや単身世帯の増加は、比較的飼育スペースを取らず、お散歩の必要もない猫の人気を後押ししたのかもしれません。また、SNSなどでの猫のかわいらしい姿の拡散も、「猫を飼いたい!」という気持ちを刺激した一因かもしれませんね。

調査が暴いた光と影:流通過程で消えた「2万4243匹」の命

しかし、この調査結果は、猫人気の高まりという明るい側面だけを照らし出したわけではありません。同時に、ペット業界の構造的な問題とも言える、非常に重い現実を私たちの目の前に突きつけました。

それは、「流通過程での犬猫の死亡数」です。

届出書では、年度中に死亡した犬猫の数(原則として死産は含まない)も報告する義務があります。その結果、2016年度には、繁殖業者からペットショップなどの小売りに至る流通過程で、犬猫あわせて2万4243匹もの命が失われていたことが明らかになったのです。

この数字だけでも衝撃的ですが、さらに深く見ていくと、以下の事実が浮かび上がります。

  • 犬の死亡数(1万8687匹)は、同年度に全国の自治体で殺処分された犬の数(1万875匹、負傷犬を含む)を上回っていた。

つまり、私たちが「殺処分ゼロ」を目指して様々な努力を重ねている一方で、その殺処分数をはるかに超える数の犬たちが、消費者の目に触れることなく、流通の過程で静かに死んでいたという、あまりにも悲しい現実です。

(ブロガー考察) この「2万4243匹」という数字の裏には、どのような命があったのでしょうか。病気で亡くなった子、輸送中のストレスや事故で命を落とした子、あるいは生まれつき体が弱かった子もいたかもしれません。しかし、この膨大な数を見るにつけ、一部の業者による過剰な繁殖、コスト削減のための劣悪な飼育環境、幼齢個体の無理な移動などが背景にあるのではないか、という疑念を抱かざるを得ません。そして、「原則として死産は含まない」という一文の重み…。この数字は、氷山の一角である可能性も否定できないのです。

なぜ、このような悲劇が? – 考えられる要因と構造的な問題点(ブロガー考察)

年間2万4千匹以上もの犬猫が流通過程で死亡するという事態は、決して単独の原因で起こるものではありません。そこには、ペット業界が抱える構造的な問題が複雑に絡み合っていると考えられます。

  • 「ブーム」が招く需要と供給の歪み: 特定の犬種や猫種に人気が集中すると、一部の業者は利益を優先し、母体への負担を顧みない無理な繁殖を繰り返すことがあります。これにより、遺伝的な疾患を持つ個体や、虚弱な個体が生まれやすくなるリスクが高まります。
  • コスト削減の陰で見過ごされる命の重み: 十分な広さのない飼育スペース、不衛生な環境、適切な医療ケアの欠如…。これらは全て、コストを抑えようとする一部の悪質な業者のもとで起こりうる問題です。命ある存在としてではなく、「商品」として扱われることで、犬猫の福祉がないがしろにされているのです。
  • 幼齢個体の移動がもたらす多大なストレス: 日本のペットショップでは、非常に幼い子犬や子猫が販売されているケースが少なくありません。生後間もない時期に親や兄弟から引き離され、長距離を輸送されることは、子犬や子猫にとって計り知れないストレスとなり、免疫力の低下や病気の発症に繋がります。
  • 法規制の限界と監視の目: 2013年に改正動物愛護法が施行され、業者への規制は強化されました。しかし、この2016年度のデータは、当時の法規制だけではまだ不十分であった可能性を示唆しています。また、数多くの事業者を隅々まで監視し、指導・摘発するには、行政の人員や予算も限られているという現実があります。

これらの問題は、一部の悪質な業者だけの責任なのでしょうか?私たち消費者が、ペットのかわいらしさや価格ばかりに目を向け、その命がどこから来たのか、どのような環境で育てられたのかに関心を払わなかった結果とも言えるのかもしれません。

私たちは何を選ぶべきか? – 消費者としての責任と、未来へのアクション(ブロガー提言)

この2016年度のデータが示す現実は、私たち一人ひとりに重い問いを投げかけています。ペットを愛する者として、そして責任ある消費者として、私たちは何ができるのでしょうか。

  1. 「迎える覚悟」を再確認する: ペットはぬいぐるみではありません。感情を持ち、病気もすれば、歳も取ります。その命を最後まで預かるという強い覚悟と責任を持てるのか、迎える前に自問自答することが不可欠です。衝動買いは絶対に避けましょう。
  2. 「どこから迎えるか」を真剣に考える: ペットショップは身近な選択肢ですが、それだけではありません。新しい家族を待っている保護犬・保護猫という素晴らしい選択肢があります。また、ブリーダーから直接迎える場合は、必ずその飼育環境を見学し、親犬・親猫の健康状態やブリーダーの動物に対する姿勢を確認しましょう。
  3. 「価格」だけで判断しない賢明さを持つ: 極端に安い価格で販売されている場合や、生後間もないにも関わらず店頭に並んでいる場合は、その背景に何があるのかを疑う視点も必要です。私たちの消費行動が、悪質な業者を間接的に支えることにならないよう、賢明な判断を心がけたいものです。
  4. 声を上げ、行動する勇気を持つ: 動物虐待が疑われるケースや、劣悪な環境で動物が飼育されているのを見聞きした場合、見て見ぬふりをせず、関係機関(自治体や動物愛護相談センターなど)に通報する勇気も大切です。また、動物愛護団体の活動を支援したり、ボランティアに参加したりすることも、私たちにできる具体的なアクションです。
  5. より良い未来のために、関心を持ち続ける: 動物愛護法のさらなる改正や、行政による監視体制の強化など、制度面での改善も不可欠です。そのためには、私たち国民がこの問題に関心を持ち続け、声を上げていくことが大きな力となります。

まとめ:数字の向こう側にある命の尊厳 – 私たちが築くべき、真のペット共生社会とは

今回取り上げた2016年度のペット流通量に関するデータは、確かに過去のものです。しかし、それが浮き彫りにした「猫人気の高まり」と、その陰で起きていた「流通過程での多くの死」という現実は、私たちにペットとの共生のあり方を深く問い直すきっかけを与えてくれます。

猫人気は、ライフスタイルの変化などを背景に、その後も続いていると言われています。それに伴い、安易な飼育放棄や多頭飼育崩壊といった新たな問題も懸念されています。そして、流通過程における命の問題が、この数年でどれほど改善されたのか、あるいは依然として課題が残っているのか、私たちは継続して注視していく必要があるでしょう。

年間2万4千匹以上もの命が、誰にも知られず、誰にも看取られずに消えていく…。この事実は、決して「仕方のないこと」「ビジネスだから」という言葉で片付けられてはなりません。

この記事が、読者の皆様にとって、ペットという存在の愛おしさだけでなく、その命の重み、そして私たち人間に課せられた責任について、改めて考えるきっかけとなれば幸いです。すべての動物たちが、尊厳を持って生きられる社会。それこそが、私たちが目指すべき真のペット共生社会なのではないでしょうか。その実現のために、私たち一人ひとりが今日からできることを、一緒に考えていきませんか。


この記事が、皆様の心に何か少しでも響くものがあれば、ブロガーとしてこれ以上の喜びはありません。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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