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近年、クリーンエネルギーへの移行が世界的に加速する中で、太陽光発電は持続可能な社会を実現する上で不可欠な存在となっています。しかし、このエコな光の裏側で、看過できない国家安全保障上のリスクが浮上していることをご存知でしょうか?
先日報じられたロイター通信のニュースは、私たちのエネルギーインフラが抱える脆弱性を鮮明に浮き彫りにしました。中国製の太陽光発電システムの一部から、製品仕様書に記載されていない不審な通信機器が発見されたというのです。これは単なる技術的な欠陥ではありません。もしこれらの機器が遠隔操作された場合、送電網が不安定化し、最悪の場合、広域の停電を引き起こす可能性が指摘されています。
(リンク先より文章を引用しています)
中国製太陽光発電に不審な通信機器搭載 遠隔操作で大規模停電恐れ ロイター報道
中国製の太陽光発電システムの一部に不審な通信機器が搭載されていたことが明らかになった。ロイター通信が19日までに報じた。通信機器を通じてシステムが遠隔操作された場合、送電網が不安定化し、広域の停電を引き起こす恐れがあるとみられている。
ロイターによると、通信機器は、太陽光システムのうち、パネルから発電した直流電力を交流に変換して送電網に流すインバーターやバッテリーなどの内部から発見された。これらは製品の仕様書に記載されておらず、最近9カ月間に複数の中国企業製品から見つかっているという。関係者は「事実上、送電網を物理的に破壊する方法が組み込まれていたということだ」と話した。
在ワシントン中国大使館は「国家安全保障の概念を一般論化し、中国のインフラに対する歪曲と中傷に反対する」と述べた。
米エネルギー省は、新興技術に関するリスク評価を継続しているとした上で、製造企業の情報開示に顕著な課題があると述べるにとどめている。
国際エネルギー機関(IEA)の報告書によると、中国は太陽光パネルの全製造過程で世界シェアの80%を占める。中国は太陽光発電システムを戦略的分野として2011年から欧州の10倍以上の資金を投じ、欧州、日本、米国をしのぐ製造能力と低コスト化で台頭している。
21年の中国の太陽光パネル関連製品の輸出額は300億ドル(約4兆3500億円)以上で、製造装置会社の上位10社も中国企業とされる。
各国が調達先を中国から切り替えるのは容易ではないが、米中対立に伴い、安全保障に関わるインフラを見直す動きは広がりそうだ。米下院国土安全保障委員会のオーガスト・フルーガー議員(共和党)は「通信ハッキングだろうと太陽光システムの遠隔操作だろうと、中国共産党はわれわれのインフラを狙う手段を選ばない」とロイターに語った。
(リンク先より文章を引用しています)
なぜこれが「国家安全保障」に関わるのか?
この問題が単なる製品の不具合で終わらないのは、その影響が社会の根幹を揺るがしかねないからです。
- インフラ破壊のリスク: 関係者が「事実上、送電網を物理的に破壊する方法が組み込まれていた」と語るように、これは国家の重要インフラを標的としたサイバー攻撃、あるいは物理的攻撃の入り口となり得るものです。送電網の停止は、病院、交通、通信、金融システムなど、あらゆる社会機能に壊滅的な影響を与え、国民生活を麻痺させます。
- サプライチェーンの脆弱性: 国際エネルギー機関(IEA)の報告書によれば、中国は太陽光パネルの全製造過程で世界の80%を占めています。圧倒的なシェアを持つ中国製品への依存は、特定の国へのサプライチェーンの集中を意味し、地政学的なリスクや国際情勢の変化が直接、国内のエネルギー供給に影響を及ぼす可能性を秘めています。
- 情報漏洩の懸念: 不審な通信機器は、システムに関する機密情報を外部に送信するバックドアとして機能する可能性も否定できません。発電量データ、稼働状況、さらにはシステムが設置されている場所の詳細な情報などが、悪意ある第三者の手に渡れば、国家の安全保障上の脅威となり得ます。
- 「ハイブリッド戦争」の新たな側面: 現代の紛争は、武力衝突だけでなく、サイバー攻撃、経済的圧力、プロパガンダといった非対称な手段を組み合わせた「ハイブリッド戦争」の様相を呈しています。エネルギーインフラへのサイバー攻撃は、このハイブリッド戦争における強力な武器となり得るのです。
中国の戦略的投資と世界の現実
中国は2011年から太陽光発電システムを戦略的分野と位置づけ、欧州の10倍以上の資金を投じてきました。その結果、圧倒的な製造能力と低コスト化を実現し、世界市場を席巻しています。2021年の中国の太陽光パネル関連製品の輸出額は300億ドル(約4兆3500億円)以上。製造装置会社の上位10社も中国企業が名を連ねています。
各国が中国からの調達先を切り替えるのは容易なことではありません。コスト、技術力、供給体制など、様々な要因が絡み合います。しかし、米中対立が深まる中、米国では既に安全保障に関わるインフラの見直しが加速しています。米下院国土安全保障委員会のオーガスト・フルーガー議員が指摘するように、「通信ハッキングだろうと太陽光システムの遠隔操作だろうと、中国共産党はわれわれのインフラを狙う手段を選ばない」という認識は、西側諸国で共有されつつあります。
日本のエネルギー安全保障における課題と対策
日本も例外ではありません。エネルギー資源に乏しい我が国にとって、再生可能エネルギーの導入は喫緊の課題ですが、その過程で国家安全保障を軽視することは許されません。
考えられる対策は以下の通りです。
- サプライチェーンの多様化と国内回帰の推進: 特定の国への依存度を減らし、調達先の多様化を図るとともに、国内での再生可能エネルギー関連製品の製造能力を強化する必要があります。
- 技術的な検証とセキュリティ基準の強化: 導入するシステムに対して、第三者機関による厳格なセキュリティ検査を義務付け、不審な通信機器の有無だけでなく、潜在的な脆弱性を徹底的に洗い出す仕組みを構築すべきです。
- 情報共有と国際連携の強化: 各国政府や研究機関との情報共有を密にし、新たな脅威に対する知見を深める必要があります。国際的な連携を通じて、サプライチェーン全体の透明性とセキュリティを向上させることが重要です。
- リスクアセスメントの徹底とリスクマネジメント体制の構築: エネルギーインフラにおけるサイバーセキュリティリスクを継続的に評価し、有事の際の対応計画を策定するなど、リスクマネジメント体制を強化することが求められます。
まとめ:見えない脅威に立ち向かうために
太陽光発電は、私たちの未来を照らす希望の光です。しかし、その光の裏に潜む「見えない脅威」から目を背けてはなりません。エネルギー安全保障は、国家の存立と国民の生活を守るための最重要課題の一つです。
今回のニュースは、私たちに「何を導入するか」だけでなく、「誰から、どのように導入するか」という視点の重要性を再認識させました。経済合理性だけでなく、地政学的リスク、そして国家安全保障という複眼的な視点を持って、エネルギー政策を推進していくことが、今、日本に求められています。
私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、声を上げることが、安全で持続可能な未来を築くための第一歩となるでしょう。
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